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最高裁判所第一小法廷 昭和24年(新れ)28号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人渡辺喜八上告趣意について。

上告の申立は、通常高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対してのみなすことができるものである。そして、特に、地方裁判所又は簡易裁判所がした第一審判決に対する上告(いわゆる跳躍上告)の申立は、檢察官でない者がする場合には、「その判決において法律、命令、規則又は処分が憲法に違反するものとした判断又は地方公共團体の條例若しくは規則が法律に違反するものとした判断が不当であることを理由と」するときに限り、これをなし得るに過ぎないものであること刑訴規則二五四條の規定により明白である。されば、檢察官でない者の跳躍上告理由が原第一審判決に存する右のごとき積極的な違憲又は違法の判断を不当であるとしない上告申立は、明らかに法定の事由に該当しない不適法なものといわねばならぬ。

しかるに、本件上告は、高等裁判所がした第一、二審判決に対するものではないし、また、その上告論旨は第一、二点とも原第一審判決に存する積極的な違憲又は違法の判断を不当とするものでもないから、明らかに法定の事由に該当しないものというべく、從って刑訴四二四條、三八六條一項三号に準じ主文のとおり決定する。

この決定は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎)

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